
Ihagee Exakta66 戦後モデル
先日エキザクタ66の戦前・戦後モデルの紹介記事を書きました。
Ihagee エキザクタ66(記事はこちら)
独特の存在感を持つエキザクタ66。飾っておくのも素敵だけど、やっぱり使ってこそのカメラ!
一見するとどこをどうやったら使えるのか、フィルムはどこから入れるの?使うときの注意点は?
最初見たときは私もわかりませんでした。
今回はそんなエキザクタ66戦後モデルの使い方を紹介します。
(戦前タイプはまだ手にしたことがないので、入荷することがあれば記事にしたいと思います)
目次
各部の説明

1 シャッターボタン(レリーズケーブル用ネジ有)
2 ウェストレベルファインダーフード部ロック解除レバー
3 シンクロソケット
4 テーブルスタンド (固定、床置きでの安定用)

5 レンズロック解除レバー
6 シンクロ調整ダイヤル
7 三脚穴
8 フィルムホルダーロックレバー
9 スプールロック
10 フィルムノート

11 コンデンサーレンズロックレバー
12 レリーズロックレバー
13 フィルムカウンターリセットレバー
14 シャッタースピード調節ダイヤル
15 スローシャッター&セルフタイマー調節ダイヤル
16 巻上げディスク(巻上げレバー)
17 フィルムカウンター(カウンターメモリ調節可能)

18 フィルムセット指標窓

19 フィルム室(写真は蓋が閉じた状態)
20 巻き取りスプール室

21 ファインダーフードロック解除
22 ストラップ取付け金具
23 絞りリング
24 プリセット絞りセットリング
25 フォーカスリング

26 ルーペロック解除(押し下げるとルーペが出てきます)
フィルム装填
このカメラ、使い方にとてもクセがあるので、まずはフィルムの入れ方からご説明します。
1、フィルムホルダーの取り外し
ホルダーロックレバー(各部の説明8番、写真2)を時計回りに180°回し、12時の位置まで上げます。
するとホルダーロックが解除され、ホルダーの取り外しができるようになります。
取り外しは、背面方向ではなく、ホルダーロックレバーのある側面へ引き抜くように外します。
5mmほどスライドさせれば後は普通に取り外すことができます。
2、フィルム装填
まずは空スプールを巻き取り側へセットしましょう。
スプールロックレバー(各部の名称9番、写真2)を時計回りへ90°回すとロックレバーを引き出すことができます。
空スプールをセットし、ロックを戻します。
次にフィルムをセットしていきます。
フィルム室蓋(各部の説明19番、写真5)を空け、フィルムをセットします。※フィルム面に注意しましょう。下記参照

フィルム裏紙先端を巻き取りスプールへ巻き込み、1周程度しっかり巻き、裏紙のたるみを取ります。

3、フィルムホルダーのセット
フィルムセットが完了したら、ホルダーをカメラへセットします。
取り外しの反対のことをするだけなので問題ないと思いますが、下記には注意します。
・最後はスライドして入れるのでフィルム裏紙が引っかからないようにする
・右側に5mmほど空けて、背面側から密着させてからスライドしてセットする
ロックレバーを戻してホルダーセット完了です。
4、1枚目のセット
オート・セミオートマット、赤窓式のどれでもないセット方式なので、ここが一番迷うポイントだと思います。
まず、フィルムカウンターを「F」に合わせます。※12枚目の次です。カウンター横ダイヤルでセット可能。
「F」に合わせると巻上げがフリーになり、レリーズしなくても巻上げできるようになります。
次にフィルムセット指標窓(各部の説明18番、写真4)を見て下さい。
巻上げていき、フィルム面が出てくるとこの窓に針が出てきます。通常は針は出ていません。
ノーマルの状態で大体10回程度巻き上げると針が出てくると思います。
下写真、針の出ていない状態

下写真、針の出ている状態

針が見えたら1枚目はすぐそこです。
見えてから半巻き程度巻き上げ、止めます。
最後にフィルムカウンターリセットレバーを上に押し上げると、カウンターが1枚目にセットされ、フィルムセットが完了します。
◆コマかぶりにご注意!
前記事でも書きましたが、元々フィルム送りに問題のあるカメラです。
加えて現在と昔のフィルムやスプールの厚みの違いにより、高頻度でコマかぶりが起こります。
普通のフィルム、普通のスプールで何度か撮影してみたところ、コマかぶりがかなり出ていました。
対策としては、巻き取りスプールにガムテープのようなものを巻いて厚みを作ることです。
ガムテープで4~5周ほど巻いて、裏紙先端を入れるスリット穴を開けましょう。
あとは通常通り使用するだけです。
厚みによって最後のほうは多少コマかぶりが出たり、12コマ目が切れてしまうことがあるので、11コマ程度で撮影を終了しておくのが安全です。
※現像に出す際はテープを巻いていると一言伝えましょう。
そういうものだと思って使ってあげましょう。
シャッター

フィルム装填することができたので、あとは巻上げ、シャッターを切っていくだけです。
ピント合わせについては特に難しいこともなく、ハッセルブラッド等を使用している方は迷うこともないでしょう。
1枚目にセットされているので、シャッタースピードをセットし、レリーズしていきます。
◆シャッタースピードの設定
シャッタースピード調節ダイヤルでスピードを設定します。
このカメラには二つのシャッタースピードダイヤルがついています。
どちらもダイヤルを引き上げ、回してセットします。
・上部ダイヤル(各部の説明14番、写真3):1/25秒~1/1000秒、B、T
・下部ダイヤル(各部の説明15番、写真3):スローシャッター1/10秒~12秒、セルフタイマー
上部ダイヤルに記載されているスピードでレリーズする場合は、下のダイヤルは無視して大丈夫です。
では下部ダイヤルの使い方はというと…これが中々クセがあるんです。
下部ダイヤルには黒文字と赤文字の数字が書いてあります。
・黒文字:スローシャッター(1/10, 1/2, 1-12秒)
・赤文字:セルフタイマー(12秒後レリーズ固定、スロー併用時は、1/5, 1-6秒)
◆スローシャッターの使い方
まず巻上げが完了していることを確認し、上部ダイヤルをBかTにセットします。
下部ダイヤルで使用したいスピードにセットします。
下部ダイヤルを時計回りに巻き止まるまで回します。
あとはシャッターボタンを押すだけです。
◆セルフタイマーの使い方
スローシャッターと同様に巻上げを完了します。
このあと二つの使い方に分けられます。
1、上部ダイヤルのシャッタースピードを使用する場合
スピード設定後下部ダイヤルの赤文字の「どこでも良い」ので合わせ、時計回りに回し、レリーズします。セルフタイマーは12秒固定です。
2、下部ダイヤルのシャッタースピードを使用する場合
上部ダイヤルをBかTに合わせ、下部ダイヤルの「赤文字」で使用したいスローシャッターを選択します。あとは同様に回した後レリーズします。このときもセルフタイマーは12秒です。
◆下部ダイヤルの注意点
上記を見るだけだと簡単そうに思われるかもしれませんが、この下部ダイヤル、元々セットしていた位置によっては回らないことがあるんです!
元の位置がどこであっても右回りにはしっかり回せます。
しかし反対は…回りません。
例えば中間位置にある黒文字12秒で一回レリーズを切って、次に黒文字1秒にセットするとします。
巻上げて、BかTにセットして、さあ1秒に・・・あれ?回らない?壊れてる?
いいえ、実は壊れていないんです。
このとき、ダイヤルを時計回りに回してからセットしなおしてみて下さい。
回した量で変わりますが、左回し側のスピードにもセットすることができるようになります。
◆レリーズ時の注意点
ここまででもすでに苦労されていることでしょう。
しかし注意点はまだございます。
それは、「レリーズ時にダイヤル、巻上げレバーに触れないようにする」ということです。
ダイヤル等はシャッター幕等の動きと連動しており、手で遮られてしまうと、レリーズされない、もしくは幕の動きを阻害してしまうのです。
また、巻上げレバーに触れながらレリーズすると、次で巻き上げられないことも起こります。
この時はあせらずに、まず巻上げレバーを無理のない程度に回し、回らないことを確認します。
次に上部シャッタースピードダイヤルを「反時計回り」に回します。
するとシャッターがチャージされ、レリーズできるようになります。
ここで一回レリーズを切ると、また巻上げができるようになっているはずです。
この上部シャッタースピードダイヤルは反時計回りに回すことでシャッターチャージが可能です。
つまり、巻き上げずにチャージのみすれば多重露出も可能となっています。
シャッター回りだけでも注意点がいくつかありましたが、これらは「仕様」です。
潔くあきらめて、個性だと思ってあげましょう。
巻き取り、フィルム取り出し

苦労して撮影を完了したら、フィルムの巻き取り・取り出しです。
12枚目まで撮影し巻上げを行うと、フィルムカウンターが「F」になります。
「F」位置では巻上げレバーがフリーになるので、あとはひたすら巻き上げていきます。
フィルム面が終わると指標窓の針が消え、裏紙まで巻き取れると巻上げの感触がなくなります。
ロールフィルムの使用に慣れている方なら特に問題はないかと思います。
あとは先ほどの手順でホルダーを外し、フィルムを取り外して撮影完了です。
お疲れさまでした!
次に使うときのためにスプールの移動をお忘れなく。
その他の説明
◆ファインダーフードの開け方、閉め方
ファインダーフードロック解除ラッチ(各部の説明21番、写真6)を押し下げるとフードが開きます。
ルーペを使用する際は解除レバー(各部の説明26番、写真7)を押し下げます。
フード前面は開くことができるので、スポーツファインダーも使用可能。
フードには閉める順番が記載されているので、順番どおりに折りたたんであげましょう。
◆レンズの着脱
外す際は、レンズロック解除レバー(各部の説明5番、写真2)でロック解除し、反時計回りに回して取り外します。
着ける際は、赤い指標に合わせて、時計回りにロックがかかるまで回しましょう。
ハッセルブラッドのような着脱時の注意点はありません。
◆プリセット絞りのセット
プリセット絞りリング(各部の説明24番、写真6)をマウント側へ押し下げ、回転させて設定します。
◆シンクロ
シンクロソケットに接続し、フラッシュシンクロが可能です。
シンクロ速度は1/25秒です。
シンクロ調整ダイヤル(各部の説明6番、写真2)は”0”に合わせておきます。(古いフラッシュバルブで使用されましたが、今は0のままで良いでしょう)
◆フィルムノートの使い方
フィルムノート(各部の説明10番、写真2)は筆圧で跡が残り、メモ替わりに使っていたようです。
下のダイヤルを回すことで消えます。
※インクの出ない爪楊枝のようなもので使いましょう。というか傷がつくのであまり使わないほうが良いと思います。

エキザクタ66戦後モデルの使い方をご紹介しました。
正直なところ、使い方にクセがありすぎて初心者の方にはオススメできません。
ある程度フィルムをダメにして、練習してあげる必要もあると思います。
こちらが歩み寄ってあげるタイプのカメラとなります。
ぜひケースの中、棚の上でなく、外に持ち出して使ってあげましょう。
このカメラを持って散歩に行くと写真好きな方から声をかけられること請け合いです。
また、テッサー80mmはボケにクセがありますが、少し絞り込んであげると今でもビックリするほどの解像感のある画が撮れます!